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有効圧縮試験

担当教員:岩堀

 近年、航空機分野では、機体の軽量化や燃費向上を目的として、比強度および比剛性に優れた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の利用が拡大しています。現在では、CFRPは航空機の胴体や主翼など、機体の荷重を支える主要な構造部材にも使用されています。

 CFRPを航空機の構造材料として使用する際には、ボルトやリベットなどの留め具によって部品を締結するため、「孔開け」が必要となります。そのため、孔周辺の強度特性を正確に評価することが重要です。現在、ASTMやJISなどの規格では、孔を設けた試験片に引張または圧縮荷重を加える有孔引張・圧縮試験(Open-hole Tension:OHT、Open-hole Compression:OHC)が一般的に用いられています。しかし、実際の航空機構造では孔にボルトなどの留め具が挿入されるため、孔を空けたままのOHT・OHC試験だけでは、実際の締結部の状態を十分に再現できません。

 このような実際の構造との違いを補うため、孔に充填物を挿入した状態で荷重を加える閉孔引張・圧縮試験(Filled-hole Tension:FHT、Filled-hole Compression:FHC)が注目されています。これまでの研究から、FHC強度はOHC強度よりも高くなることが示されています。一方で、FHC強度が向上する要因や、FHCにおける損傷の発生・進展メカニズムには、未だ明らかになっていない点が多くあります。そのため、FHCを航空機設計に活用するためには、FHC強度や破壊メカニズムを明らかにするとともに、実際の航空機構造で想定されるさまざまな条件における強度データを蓄積していくことが重要です。

 また、強度評価においては、「孔の加工方法」が強度に及ぼす影響も重要な課題です。孔の加工方法にはリーマ加工やウォータージェット加工などがあり、加工方法によって孔内部の表面粗さや初期損傷の状態が異なります。これらの違いはOHC強度にも影響し、特にウォータージェット加工では、リーマ加工と比較して孔部の表面粗さが大きくなり、OHC強度が低下する傾向が報告されています。しかし、孔の表面状態や初期損傷が、どのように損傷の発生・進展や強度低下につながるのかについては、未だ十分に明らかになっていません。

 そこで私たちは、CFRP積層板を対象として、FHCおよびOHC試験を実施し、荷重を受けた際の強度や損傷の発生・進展を実験的に調べています。さまざまな条件で実験データを取得するとともに、試験中の変形や試験後の損傷状態を観察することで、CFRP積層板のFHCおよびOHCにおける強度・損傷特性への理解を深めることを目指しています。これらの研究を通じて、CFRPを用いた航空機構造の強度評価や、より適切な設計手法の確立につながる知見を得ることを目指しています。

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